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『厄介なプレゼント』 

2009年09月26日
ギン × 一護。     7152(誕生日2)



   一護の誕生日。
   渡されたのは、ぬいぐるみ。

   ギンの謀反は、なしの方向で。


               (アイコンは、そらみみ様よりお借りしました。)








7月15日。それは確かに、自分の誕生日である。

だが、高校生にもなって、その日のプレゼントにぬいぐるみが届くとはどういうことか。
(…嫌がらせか? コレは新手の嫌がらせなのかっ?)
全長60㎝はあろうかというそれをしっかり見てみれば、
トレードマークともいえる眉間の皺が、深くなっていくのが解る。

そんな一護の様子も意に介さず、井上は、にこやかにこの<物体>を選んだ理由を語る。
「ルキアちゃんに聞いたら、黒崎君、狐が好きだって教えてくれたから♪」
「せっかく白い狐なんだから、それ相応の衣装が必要だろう?」
何やら含みを感じさせる石田の言葉通り、その狐にはオプションが付いており。
実は、それこそが、一護の眉間の皺を深くさせていたのだった。


言いたいことは多々あったが。
せっかくの厚意を無碍にすることも出来ず、ひとまず受け取る羽目になってしまった。
そういう自分の性格も読んだ上での暴挙だと思うと、腹立たしくてならない。
とりあえず、オプションを外してしまえばいいか・・・と軽く考えていた一護だったが、
石田お手製のソレは、しっかりきっちり縫い付けられていて、取れそうもない。
(・・・外そうって考える所まで読まれてるみてーで、すげームカツクッ!)

波立つ感情のままに、こうなれば行く先は一つとばかり、一護は尸魂界へ向かっていった。


目当ての人物は、13番隊舎にいるはずであり、
瞬歩を使いながら移動していけば、思いの外あっさりと見つけることが出来た。

「おい、ルキア!テメェー、どういうつもりだ。」
「会って早々、何のことを言っておるのだ?」
「お前、井上と石田に何言いやがった?」
「あぁ、そのことか。お前の好きなものを聞かれたから答えたまでだ。
そういえば今日が誕生日だったな。おめでとう。」
「ありがとう。・・・って、違うだろ!」
「一つ歳をとったというのに、一護は相変わらず落ち着きのない。」
「そんなにすぐ、変われるか。・・・だからそうじゃなくて、コレどうしてくれるんだよ?」
「物好きにも、お前はソレが好きだろう?私は間違ったことは言っていないと思うぞ。」

心持ち胸を反らすかのように、冷静なルキアから返されると、一護も言葉がでない。
『好き』かどうかと聞かれれば、『嫌い』とは確かに言い辛かったから。 とはいえ、
当初より落ち着きを取り戻したものの、この<物体>を持ち続けるのにはやはり抵抗がある。

「・・・ったく、こんなモノ、どうしろって言うんだよ・・・。」
「しかし、一護。そんなモノをここに持ち込んでよかったのか?」
「お前に押し付けようかと思って、持ってきたんだけど?」
「それは全力で断る!お前と違って、私はソレが好きではないからな。」
「あ~・・・、そういえばお前、いじめられてたんだっけか、コレに。」
「まったく、お前の趣味が解らん。義兄様の方がどれほど素晴らしいか!!」
「や、白哉の事はとりあえず置いとけ。頼むから、持ち出すな。
・・・で、何で、これを持って来たらマズイんだ?」

心底解らずそう聞けば、呆れた様にルキアが答えた。

「ここには、<本体>がいるのだぞ?」
「!! ・・・ヤバイ、忘れてた・・・。」
「一護はしっかり者のようで、時々うっかりしているな。」
「うっかりだらけのお前に言われたくねーよ。とりあえず、このまま帰れば・・・」


「なんや、イチゴちゃん。このまま帰ってしまうつもりなん?」

さっくりと、誰にも会わずにとんぼ返りしようかと算段していたら。
現在、一番会いたくなかった人物の霊圧が、すぐ後ろから感じられた。


「・・・ギ、ギン?お前、仕事は・・・」
「一番にそれを聞くん?なんや、淋しいなぁ。せっかく『恋人』が逢いに来とるのに。」

いつもと変わらない薄笑いを浮かべ、飄々とした調子で語るけれど、
何やら不穏な気配と射すような霊圧を感じるのは、気のせいだろうか。
ちらりと視線をルキアへ向ければ、すっかり青ざめて言葉をなくした彼女がいる。
そんな一護の視線の動きに、ピクリとギンの眉が動く。

「イチゴちゃんは、ルキアちゃんと仲良しさんなんやねぇ。」
「・・・まぁ、な。」
「旅禍としてここに来た時も、ルキアちゃんの為やったもんなぁ。」
「・・・今頃、何言い出してんだよ?」
「ん~?なんや、妬けるなぁ、思て。」
「はっっ?何で!」
「何でやろうなぁ?」

表情は常と変わりないが、何やら機嫌が悪い事にさすがに一護も気がついた。
それが逆効果になるとも気付かず、困ったように再びルキアの方へ視線を向けてしまう。
向けられた方はたまったものではなく・・・ルキアは、自分のみに送られる本気の殺意に、
命の危険をひしひしと感じていた。このままでは、本当にヤバイと本能が告げている。

このギンという男が、いかに酷薄な性をしているか、充分に知っていたから。
自分にとって邪魔な存在を射殺すことに、なんらためらいを感じないであろう。
彼が、唯一、心からの優しい感情を向けるのは一護のみに対してだと、
護廷に関わる一護以外の人間は皆、そう認識している。

そう、逆に言えば、一護だけはギンに対してどんな暴挙を働こうとも、許される。
それを知っているルキアは我が身を守るために、友を売る事にした。


「市丸隊長、実は一護から、これを見せ付けられていたのです。」
一護の手から、件の<物体>を恐ろしいスピードで引っさらうと、正面に掲げてみせた。

「あっっ!てめぇ、ルキア!!何しやがる!」
「良いではないか、一護。このさいだ、市丸隊長に堂々と惚気てしまえ。」
「はぁ~~っ?何で惚気っ・・・」
「誕生日プレゼントに貰ったと、喜んでいたではないか!」
「・・・誰がだよっ。」

「・・・これ、ボク、やんなぁ?」

どこか、力が抜けたように小さくつぶやくギンの声が、耳に届き、一護ははっとする。
ありもしないことを、堂々と宣告していくルキアに気を取られ、忘れかけていたが、
こちらを片付けないと、後々自分に厄介事が降りかかってしまう事を思い出す。

「いや、違うし!だってこれただのキツネ・・・」
「そやかて、コイツ、ボクと同じ羽織着てはるよ?」

嬉しそうに、多分これは心から嬉しそうに、ニヤリと笑ったキツネが目の前にいた。


・・・石田の付けたオプションは、ギンと同じ三番隊隊長の白い羽織。
ご丁寧にも、裏地の色まで揃えているらしい懲りようだった。
(・・・だから、見せたくなかったんだよ!)
それでも、何とか足掻こうとするが、機嫌を直したらしいキツネは聞きやしない。
先ほどまでの殺意など忘れたかのように、ルキアの方へ顔を向ける。

「ルキアちゃん、このキツネさん、どうしたん?」
「実は、一護の友人に彼の好きなものを聞かれたので、
<狐>と答えました所、このようなものが出来上がった次第です。
そこで、義理堅い一護が、わざわざ私の元へ礼を伝えに来てくれまして、
市丸隊長には恥ずかしくて見せられない、と言っておったのですが・・・」
「そやからイチゴちゃん、真直ぐここへ来て、黙って帰ろうとしとったんやねぇ。」
「そういう次第です。」

常にない勢いでよく回るルキアの口に、一護は目を見張る。
(しかも、それ全部嘘じゃねーか!何、つらつら嘘ほざいてるんだよっ!)
あまりの事に、口をパクパクさせるも、咄嗟に否定の言葉が出てこない。

「なんや、イチゴちゃんは恥ずかしがりやさんやなぁ。」
「何言ってんだ!違っっ、全てルキアのでまかせだって!」
「そないに恥ずかしがらんでもええやないの。ボク、めっさ嬉しいわぁ~。」
「ギン、ちょっと聞けって!それは井上たちから押し付けられただけだから!」
「そんなムキになって~。イチゴちゃん、ほんまに可愛らしいなぁ~~~。」

我慢できないとばかりに、ギンは一護を腕の中に捉えた。
その細い肢体からは想像も出来ないような馬鹿力で、逃げることも敵わない。
恥ずかしさのあまり、耳まで赤くなっていくのが自分でも解ってしまう。

「や、離せって!」
「嫌や。」
「人様の隊舎で何やらかしてんだよ、お前は!」
「そやったら、ボクん所やったら、いいんやね?」
「そういうことじゃなく・・・」
「ん~?ただ恥ずかしがっとるだけなん?」
「~~~っ、とにかく離せよ!」
「真っ赤になって可愛らしいなぁ。」

当初の不機嫌はどこへやら、幸せそうに笑うギンは、もう聞く耳を貸さない。
まさに、言葉が通じないキツネそのもののように見えてきて、腹立たしい。

それでも、いつまでもルキアの前で抱きしめられ、頬ずりまでされてはいたたまれなくて。
きっと黙っていたら、いつまでも離してくれるはずもなくて。
結局、諦めたように一護が折れる羽目になるのだ。

「・・・バショ、カエテクダサイ。」

ニヤリ。自分の思い通り事が運んだキツネは、まさにご満悦。

「そやったら、このままボクの家へ帰ろうな?・・・今日は帰さへんよ?
狐さんのお礼もせなあかんやろうし、誕生日、お祝いしてあげたいしなぁ。
朝まで、ゆ~~~っくりと!可愛がってあげるからなぁ。」
「そんなものいらねぇ~よ!!マジ、いらねぇから!」
「ほんまに素直やない口やねぇ。そんなんやったら、ふさいでしまうで?」
「・・・っっ!!!・・・」
一護が返事を返すよりも早く、さっさとギンは口をふさいでいた。

「それじゃあ、お邪魔さん♪」
「はっっ。(すまん、一護!おかげで命が助かったぞ。)」

ぐったりと腕の中に納まった可愛い子をしっかり抱え、ルキアからぬいぐるみも受け取って、
ギンは有言実行するために、嬉しげに、その場から瞬歩で姿を消したのだった。







                             ~ END ~

   初めて書いた話です。

   どっから見てもギンって狐(しかもギンギツネ)っぽいよな、と。
   大好きなんですけどね~、ギン。 彼がいなかったら、落ちなかったはず。
   あの京都弁も良い♪ なのに・・・ニセ京都弁、本当にスイマセン。
   頑張ったんですが・・・かなりおかしな事があると思われます。
   関西圏の方、本当に失礼しました(汗)。


     ( ’09.8.4 )






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