『 Happy as a King 』

2009年09月26日
ギン × 一護 。   


   9月10日が、ギンの誕生日だった!!
   と、急に思い出しました・・・。


            gintan.gif


            (アイコンは、そらみみ様よりお借りしました。)








『誕生日、おめでとう。』

たったそれだけのセリフだ。
それなのに、何故この男に言うのだと思うと、すんなり言葉が出てこないのだろうか。

大体、まだ16年しか生きていない一護とは違い、桁違いに長生きなこの男が、
今更そんなセリフを聞いて喜ぶとも思えないし、何度となく聞き慣れているはずだ。
そう思っても、『おめでとう』を伝えたいという気持ちは消えず、
その心情のまま素直に、三番隊舎まで足を向けたのだが、
男を目の前にした途端、固まったように言葉は出なくなってしまった。
八つ当たりだと解っていても、思わず目の前の男・ギンを睨んでしまう。

「イチゴちゃん、どないしたん?」

睨まれた方は、少々困惑気味。 
珍しく一護の方から逢いに来てくれたと嬉しく思ったのも束の間、
自分の前に立つと、黙って睨みつけてくるだけなのである。
一護を怒らせるような心当たりは・・・いくらでもあった。
しかし、そのどれが今の一護をこの状態にさせているのかが解らない。

「・・・ボク、なんやイチゴちゃん怒らせるようなこと、してしもうたやろか?」

空っとぼけて、聞いてみる。
なるべく哀しそうな表情を浮かべて。

「・・・あ、いや。」

ギンにそんな顔をさせたかった訳ではない一護は、慌てて否定する。
だが今度は、一護の方が、困った表情をする番で。

「あー・・・わりぃ。別に怒ってる訳じゃねーんだ・・・。」
「ほなら、どうしたん? なんやイチゴちゃん、様子が変やよ?」

聞き出すまでは逸らさない、とばかりに真っ直ぐに向けられるギンの視線を感じ、
一護は一つ息を吐くと、覚悟を決めてぼそぼそと、口を開いた。

「・・・いや。ただ、ほら・・・今日はお前の誕生日だろ。」
「え?」

思いがけない言葉は、小さくて。 ギンは一瞬、聞き間違いかと思う。
視線を合わせようとしない一護は、耳まで赤く染まっていて。
その様は、自分の聞き間違いでないことを、確信させてくれた。

「や。だから・・・誕生日おめでとう、ってさ・・・。」

再び、紡がれる言葉。 ギンの心を暖かく包んでくれる言葉。
次の瞬間、ギンは強く、一護を抱きすくめていた。

「なっ!!」
「めっさ嬉しいわぁ。イチゴちゃん、ボクん誕生日、覚えとってくれたんやね?」
「当たり前だろ。それにオマエだって、俺の誕生日、覚えてたじゃねーか。」
「忘れるわけあらへんよ。愛しぅてたまらん、イチゴちゃんが産まれてきてくれた日やもん。」

さらりと甘い言葉を聞かされて、一護は言葉に詰まってしまう。
が、頭の片隅で、だから『おめでとう』を言いたかったのか・・・と自分の心情に納得する。

過去何度となく、ギンが誕生日を迎えていようとも。
聞き慣れるほど、『おめでとう』の言葉を耳にしていようとも。
自分と出会って、最初の誕生日。
一護は自分の想いを伝えるために、『おめでとう』と言葉にしたかったのだ。

今日は、特別な日。
普段だったら恥ずかしくて、とても言えない言葉も言えるはず。
一護は、ギンの背中に腕を回しながら、想いのままに口を開いた。

「そう思ってんのは、オマエだけじゃねーってことだよ。
生きていてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。
その・・・なんだ、俺と居てくれてサンキュな。・・・誕生日、おめでと。」

「おおきに、イチゴちゃん。なんやボク、嬉しぅて嬉しぅて、どうにかなってしまいそうやわ。」

本当に心から嬉しそうなギンが、腕に力を籠めてくる。
一護は少し苦しいくらいだったが、黙って受け入れていた。

「・・・今日だけだからな。」
「充分や。イチゴちゃんがボクの手を振り払わんでくれただけでも、幸せや思うとったのに。
誕生日がこないに嬉しいもんやなんて、知らんかったわ。」

「なんでだよ?・・・忘れるくらいの年数生きてきたくせに。」
「そないなこと、関係あらへん。イチゴちゃんに逢うてからは、初めてやもん。」
「・・・でも、今までだって、祝ってもらってきたんだろ?」

「乱菊くらいなもんちゃうか。それやって、イチゴちゃんの言葉には敵わへんよ。
イチゴちゃんやからや。他の誰でもあかん。イチゴちゃんがボクの誕生日を
祝ぅてくれてるんや思うだけで、嬉しぅて、幸せでたまらん気持ちになるんよ。」

ギンは、心からそう思っていた。
正直、自分の誕生日などあまり興味はなかった。
他の日と何ら変わらない一日であったが、一護が言祝いでくれるだけで、
意味が変わる。  『特別』な一日となる。  全ては、一護がいてくれるから。

この腕の中の温もりだけが、灰色な世界に彩を与えてくれた。
ろくでもない人間との自覚がある自分を、少しだけまともな者へと変えてくれる。

手に入らなければ、射殺してでも自分のものにしようと決めていた。
一護には言えないけれども。  
そんな事にならないで、本当に良かったと思う。
一護が生きていなければ、こんな幸福を知ることはなかったのだから。

「ほんま、今日逢いに来てくれて、ありがとうさん。」
「・・・ってか、オマエの誕生日なのに、オレを喜ばせることばっか言ってどうすんだよ。」

嬉しいだけでなく、恥ずかしさの極みにいるだろうことは、
赤く染まったまま戻らない顔色だけでなく、一護の体温の高さからも解った。
それでも、珍しく、どこまでも素直に言葉として返そうとしてくれる一護の姿に、
ギンの中の悪戯心が刺激されてしまう。

「・・・なぁ。イチゴちゃん。それやったら、ボクも喜ばせてもらってええ?」
「あ?・・・まぁ、俺にできることならな。」

その言葉をギンに与える危険性を、この時ばかりは忘れていた。
一護から見えないところで、ニタリと悪狐に笑みが浮かぶ。

「イチゴちゃんにしか、出来ひんことや。」
「なんだよ?」
「・・・このまま、ボクん家に場所、変えよ?」

耳元で、欲を籠めて甘く囁く。
ここまでくれば、一護にもギンの目的が理解できた。

「オ、オマエ!!さっきまでの感動はなんだったんだよっ!!」
「それはそれ、これはこれやん。ボクんこと、喜ばしてくれへんの?」

わざとらしく哀しげな表情を浮かべ、ギンが顔を覗きこめば。
一護は言葉に詰まってしまう。

基本的に、一護は優しい子どもだ。 
『誕生日』という特別な日に、そんな顔をさせることが心苦しいのだろう。
許可を出してしまった手前、拒否することも出来ず、
了承の意を示すために、ギンの首へと腕を回した。

「・・・後でイヅルさんに怒られても知らないからな。」
「いつものことや、かまへんよ。今日は泊まってき?・・・イチゴ。」
「・・・とっとと、瞬歩使って連れてけよ。」
「ほな、しっかり捕まっとき。」



後に残されたのは、書類の山。
三番隊隊長は、いつものように仕事をサボって姿を消した。

しかし、それから数日後。
副隊長の小言をどこ吹く風に聞き流しながら、
珍しくも、楽しげに仕事をする隊長の姿が見られたらしい。





                            ~ END ~


   ギンはどんな状況下でも、一護を誑かすことを考えていればいい。
   何だかんだで、そんなギンに一護ちゃんも絆されてくれればいい。
   どんなに暴れても、手を緩めなさそうなギンが好きです~(妄想中)。←ヤメロ。

   ・・・それにしても。消え方が一護さんの時と一緒だ(涙)。

     ( ’09.9.16 )





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